革の街・奥浅草ツアー

台東区の今戸を中心に清川、橋場、東浅草といった一帯は、皮革業界・靴業界の”ふるさと”とも言うべき所であり、産業のメッカとして長く日本の皮革製品づくりを支えてきた地域。だが、90年代以降は年を追う毎に産業環境は厳しさを増し、街の活気も失われる一方。そんな流れにストップを掛けようと、街の活性化と産業のPRを図るためのイベント—-ディスカバー奥浅草・革乃郷ツアーが11月17日に行われた。
実施したのは皮革関係の親睦団体、東京皮革青年会。創設90周年が来年に当たることから、その記念になるイベント=地域と産業の活性化に貢献する事業を企画・実施したいと考え、プレイベントとしてこの秋から、革の街・奥浅草を消費者にアピールしていく活動をスタートすることにし、その第1弾が今回の街歩きツアーとなった。当日はあいにくの雨の一日。にもかかわらず、約40人の参加者があり、街と産業の歴史ガイダンスに始まり、皮革資料館の見学、今戸神社や本竜寺などの史跡めぐり、裁断所や製甲所、皮革問屋のショールーム、婦人靴メーカー工場などの見学を行った。参加者は年配の消費者から学生など多様で、各所を熱心に見たり聞いたり撮影したりしていた。
各地で最近盛んに行われている町おこしイベントとか街コンとかに比べると、ささやかな手作りイベントだが、今回のイベントには大きな価値がある。ひとつは、この企画が自分たちの発想・発案で行われたこと。そして、実行に当たってもすべて会のスタッフの手作り、手弁当で行ったことだ。いろいろなしがらみや制限がある中で、閉塞感漂う業界で新しいことにチャレンジし、やり遂げたことは”快挙”ともいえる。是非、第2弾、第3弾と続け、来秋の90周年記念イベントを成功させてもらいたい。なお、この奥浅草ツアーの概要を伝える映像が、youtubeに「革の家族」としてアップされている。