SHOE OBSESSION

日本ではほとんど発行されないが、海外では時々ビジュアルな靴の写真集が出版される。有名ブランドの商品カタログめいたものも多いが、この「SHOE OBSESSION」はそれらとは異なり、紹介商品・作品のラインナップに編集が利いており、刺激的であり素晴らしい。
ニューヨークのMIT(州立ファッション工科大学)が2012年に刊行した、この本は、女性を捕らえてやまない美しさ、魅力、そして魔力を秘めたSHOE=HIGH-HEELの様々なバリエーションを280ページにわたって紹介している。巻頭にヒールの歴史や魅力についての考察?があるが、論より証拠、様々なフォルムとデザインのハイヒールの洪水が、ハイヒールは女性の最大の味方と言った女優や、ハイヒールは人類最大の発明であると言い放ったデザイナーの言葉を、そうかも知れないなと思わせてくれる。写真も美しく、時に上質なヌード写真集のような官能を、時にアート作品集のような想像力を掻き立ててくれる。
ルブタン、アライヤ、ブラニックといったデザイナーやプラダ、グッチ、ディオールといったブランド商品のほかに、新進のデザイナーやアート作家のアバンギャルドな作品も並ぶ。中でも、АoiKotsuhiroi、舘鼻則孝、加賀美敬、串野真也といった日本人製作のハイヒールが欧米のデザイナー作品に比べ遜色がないどころか、異彩を放ち、ヒール表現の可能性を広げているのが、頼もしく素晴らしい。