ブラニック絵本 / チエミの婦人靴(ハイヒール)

ブラニック絵本

シューズデザイナー、マノロ・ブラニックの半生記というかサクセスストーリーが、おしゃれで、楽しく、夢のある絵本になった(2011.ニューヨーク)。作者はヴォーグなどで活躍するファッションライター、カミラ・モートン。そして絵はマノロ自筆のイラストレーションで、独特のタッチとカラフルさ、特に靴のイラストは当然のことながら魅力的で見飽きることがない。
さらにユニークなのは、巻末に童話「こびとのくつや」がやはりマノロのイラスト入りで加えられていて、貧しい靴屋が小人の妖精に助けられ靴をつくったように、マノロ・ブラニックもまた”靴の妖精”に助けられ美しい靴の数々を生み出していった、とメルヘンチックにストーリー全体が締めくくられているイメージ。ちょっとクサイけど、絵本の構成としては上手く出来ている。さすが世界のトップデザイナー、ブランディングが徹底している、と感心の一冊。

チエミの婦人靴(ハイヒール)

美空ひばり、江利チエミ、雪村いずみ……元祖三人娘のことを覚えているのは60代以上ばかりかと思ったら、今なぜか都内の映画館で元祖三人娘が主演・出演する1950~60年代の映画の特集上映が行われ、結構若い人も見にきている。昭和レトロブームとかかしら?<4月7日~4月27日、神田・神保町シアター http://jinbocho-theater.jp/>
その上映作品の中に「チエミの婦人靴(ハイヒール)」があった!上映時間50分足らずの小品だが、靴(づくり)人間必見の靴映画。昭和30年頃の北関東の小都市、製造小売店に弟子入りした若者が、文通相手の少女にハイヒールをプレゼントするために一生懸命仕事に精を出して靴作りの腕を磨き……おとぎ話のような小さな恋の物語であり、当時の靴製造店と職人の仕事振りが伺われる貴重な映画である。この機会を逃したら映画館での観賞はもちろん、DVDとかになることもない作品なので、二度とお目にかかれない”幻の靴映画”になるかも知れない。
見るチャンスは4回。①4月15日午後3時30分~、②18日午後7時15分~、③19日正午~、④20日午後2時15分~、お見逃しないように。